Vol.17 創業70周年をひかえて

出版界の“構造改革”とは

小泉内閣に変わり、“構造改革”が何よりも先行すべきであるという構想は、何となく分かってきましたが具体的にそれがどういうことなのか、私たち一人一人は何をすればよいのかわかりません。
出版界を取り巻く諸問題も、例えば再販の問題や著作権の問題にしても、本当に未来のこととして考えれば、問題の延長線上の討議ではなく、一度全く白紙に戻してグローバルな視野に立って、どうあるべきか基本的な問題として考える必要があるかもしれません。
出版界の“構造改革”です。“本が読まれない”“出版の売上が連続5年近く減少を続けている”“オンラインビジネスで誰も利益が出ていない”等の話が先行し、私達出版人として“良い本を造る”“読んでもらうための懸命な努力”のような点がどうも討議の対象になっていないような気がします。
 

21世紀に対応する企画をスタート

雄松堂は、今年から創業70周年を迎える来年にかけて、私どもでなければ出来ないであろうと思われる企画を、専門店としての誇りと責任をもって実施する計画を立てています。
第一に、全世界の出版社では全く企画として取り上げられなくなってしまっている重要資料、原著、名著のようなものを、現代最高の印刷技術を駆使してリプリント化、ファクシミリ化、ある時はマイクロフィルム、デジタルへ復元したいと思っています。
製作するだけならば世界中にいくつも有名な出版社があると思われるのですが、国際的な販売ネットワークをもつ会社として、私たちはこの分野へ、21世紀トップを切って踏み出します。
すでにケンブリッジ大学はじめいくつかの古写本の所有者から、数年前の私どもの“チョーサー企画”の実績を評価してコンタクトが来ており、具体的に対応を考えております。
4月には第一弾として16-18世紀西洋人が造った“日本の地図”12枚の高精細によるファクシミリ版を完成し、好評のうちに迎えられています。ご希望の方は、内容見本をご請求下さい。
一方で、オンライン時代に“世界の学術情報を日本へ、日本の学術情報を世界へ”と私どもの得意な分野について外国の大手オンライン出版企業グループとタイアップの計画を進めていますので、ご期待下さい。
 

PINUSの51号について

6月下旬には広報誌PINUSの51号をインターネットでお届けします。
最近私どもで主催、協賛した谷沢永一・紅野敏郎両先生による“放談会”や、ジョン・グールド展についての荒俣宏さんのエッセイなど、豊富な内容でお届けします。
出版元にとって、インターネットによる情報提供が本当に見ていただいているのか否かが気にかかるところです。
ここで再び印刷冊子型に戻すべきなのか、正に今、出版界の中心的議題の一つとなっています。
 
2001年6月