Vol.93 2014年を迎えて

2014年を迎えて

雄松堂書店は丸善CHIホールデイングスの参加企業として2月1日をもって新しい期に入り、参加から丁度3年を経過しました。この3年間は当社が関連する企業の情勢が大きく変化した時期とも重なりました。年の初め、書籍関連(新刊版元、書籍取次、古書取扱、書籍輸入)の業務に携わる方々との新年会の席で共通の話題となったのが“書籍業界の不況”でした。アベノミクスといわれる景気の好況感も、4月からの消費税率の引き上げや円安傾向の継続などの理由により書籍関連の業界では感じられないようです。デジタル化、特にオンライン型の商品開発の加速は、元来書籍業界の得ていた利益が他産業に流れていってしまう可能性があります。しかし成熟した古書業界や世界に誇る書物を造り続けてきた日本の編集力や技術の底力は、新しい情勢でも受け入れられると確信しています。良い本を作り一生懸命顧客に提供する努力が今まで以上に必要です。
Printed Mind of Man on Science Facsimile事業の開始
現在、各国において政府主導の予算計画をもとに、世界各国の図書館等が所有する重要な書物・資料類をデジタル化して発信し、世界中どこからでも基本的には無料で全コンテンツが読めるようになりつつあります。日本でも政府の補助金や公的な予算で、貴重な文献類の完全保管を兼ねてデジタル化が進められています。国立国会図書館では今年から著作権のあるものでも絶版書については多くの図書館で購読可能とする体制がスタートしたことがその一例として挙げられます。
 
20世紀の終わりごろまで、誰もが一度は聞いたことがある名著を、欧米のいくつかの専門出版社が復刻版(Facsimile版)として刊行し、日本にも数多く輸入されていました。ところがデジタル化の促進が大手の版元で行われるようになり、限定数を活字の復刻版で刊行するような専門企業が姿を消すようになりました。しかしデジタル化が進むほど、現代最高の印刷技術を駆使して原本に忠実な限定数の復刻版を作ることは日本の書店の役割であり、復刻版においては世界でも知名度の高い雄松堂の仕事であろうと確信しております。
今年、パートナーであるDNP(大日本印刷)と協力して、人類史上大きな貢献をしてきた書物、特に科学史を語る上で欠かせない名著を刊行することになりました。今年ちょうど500年目を迎えるヴェサリウスの人体構造図など、すでに制作の段階に入っています。日本以外の世界市場にむけてもPRを展開する予定です。春には具体的な企画発表をしますのでご期待ください。
 

ILAB(国際古書籍商連盟)とABAJ(日本古書籍商協会)

1964年より欧米から当社が西洋の古い書籍(Antiquarian Books)の直輸入を始めたころに、古い骨董品のような書籍を扱っている西欧の業者が商道徳を守り、強い絆で結ばれていることには驚きました。第二次世界戦争後のヨーロッパで、高価な貴重書を扱っている人たちの相互の信頼感を土台とした共通の価値観に接した時、日本の業者も仲間に入れてほしいと考え、当時すでに立ち上がっていたILAB(国際古書籍商連盟)に加入させてもらえないかと打診しました。そのために日本での足場を作ろうとABAJ(日本古書籍商協会)を結成したのち、ILABに参加して間もなく50年になります。新しい世代の古書店経営者を中心に、それまでの経験も生かして結成の目的を果たしているようです。今年は50周年を迎えるため、大型の国際古書展示会の企画も進んでいるようです。
4月にはパリでILABの大会や記念古書展も計画されており私も参加します。ABAJ創立の責任者として、日本に西欧古書の市場造りに努力してきた経験からABAJの50周年には前向きに協力していく心算です。
 

日米和親条約締結160年

以前より、東西交流史関連の書物の刊行や洋古書の輸入販売に重点を置いてきた当社は丁度ペリー提督が2度目に来日し日米和親条約締結してから160年にあたる今年を記念して、いくつかの関連企画を検討しています。出版、セミナー、展示会などにお使い頂けるような、東西交流史関連の興味深い資料、データを雄松堂は多数所有しております。是非皆様のアイデアをお聞かせください。
 
2014年2月