Vol.92 2013年、秋をふり返って─雄松堂主催のイベント

第38回国際稀覯書展

国際稀覯書展

国際稀覯書展

古書談義

古書談義

今年当社は、創業80周年から次の10年に向けて新たな一歩を踏み出しました。書籍業界の大きな変化や、グローバル化の中で少しでも新しい試みを示すべく、恒例になっている幾つかのイヴェントの成功の為に全社を挙げて協力しました。10月10日、11日の両日、弊社1階ショールームにて行われた第38回国際稀覯書展では、この10年積極的に古書の収集とデジタル化など新しい試みで所蔵品の公開に力を入れ、全国的に評価が高い武蔵野美術大学図書館より本庄美千代さんを講師に招き、古書談義「武蔵野美術大学が誇る博物図譜コレクション」としてセミナーを開催し、多くの聴衆者にお越し頂きました。
 

図書館総合展セミナー

古書販売については、各大学図書館が今期・来期の購入計画に加えてくださるよう、営業チームが事前にカタログを発行して全国へPRに行っており、その結果を楽しみにしています。10月29・30日、パシフィコ横浜で行われた第15回図書館総合展の際に、「貴重書と目録制作」というテーマで、最近蔵書目録を刊行した4つの図書館(蘆庵文庫研究会・国立音楽大学附属図書館・京都外国語大学附属図書館・武蔵野美術大学附属図書館)の編集担当の皆様より、目録刊行の意図、反響、予算等について実例をあげながらお話をいただき、日本全国から多くの図書館担当者が参加されました。貴重書類は収集することも大事ですが、それ以上にどう公開するか、活用するかなども日本の図書館や収集家にとって課題だと思われます。西欧の貴重な古書類の取り扱いでは国内外からトップブランドとして評価をいただいている当社の事業は、開店から3年目を迎える日本橋丸善3階のWorld Antiquarian Book Plazaの運営のスキルアップとともに丸善CHIホールディングスの企業の中で、重要な位置付けにあると自覚しております。
 

図書館総合展─図書館のあり方

図書館総合展

図書館総合展

「貴重書と目録制作」

「貴重書と目録制作」

近年図書館をめぐっては話題に事欠きません。図書館の未来は、近代社会、IT時代にどんな役割を持つのでしょうか。文部科学省だけではなく、経済産業省、総務省、国立国会図書館など多くの政府機関、また図書館市場を無視できなくなってきた出版界を含めて益々討論に拍車がかかってきました。当社が丁度30年前に図書の保管サービスを行うために、ベンチャー企業として発足した、関連子会社(株)カルチャー・ジャパンが図書館にかかわる人たち全ての人々の交換の場として、15年前にスタートさせた「図書館総合展」は、セミナー型のフォーラムを併催するようになってから成長を続け、今年は延べ約3万人の皆様に横浜に集まっていただき盛況を極めました。私はこの催しを、図書館を利用する人たち、図書館産業に関わる人たちの意見交換の場として発展進化させていくため、企画運営の責任者として今後更なる努力を続けたいと思っています。
今回アメリカ図書館協会との提携調印も行われたこのイベントを、より公共性を持ち、自由で、だれでも参加発言出来る催しとして運営し続けることができるよう、今後の組織運営のあり方について検討を始めたいと思っています。来年第16回についてはカルチャー・ジャパンのウェブサイトをご覧ください。
 

法律事業部が開催したYushodo Forum 2013

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Yushodo Forum 2013「アジア・ビジネス法の現在」

Yushodo Forum 2013「アジア・ビジネス法の現在」

当社の法律情報発信事業は、近年当社の営業活動の最重要分野として自他ともに認めるところです。以前洋書輸入事業のモデルとしてはほとんど無かった加除型の欧米からのカレントな法律関連情報を、図書館はじめ法律事務所や企業に対し、迅速・確実に提供する事業です。ある意味では日本における洋書輸入事業のベンチャー型とも言えるものであったのではないかと思っています。
欧米の情報発信社はオンライン型に転換を進めていますが、大量の情報の中から日本の現場で必要なものを選んで提供する仕事や商品は、日本型(印刷物)とも言え、それなりに今後も市場価値を持ち続けると確信しています。
11月12日、日比谷の図書文化館で開いた今年のYushodo Forum 2013「アジア・ビジネス法の現在」には多くの聴衆者がお越し下さり盛況でした。日本経済新聞に事前予告記事があったお蔭で、いままでの私達のお客様ではなかった若く新しい専門家の方も多くいらっしゃいました。当社もオンライン型のビジネスモデルを法律分野でも形成していく必要を改めて実感しています。それぞれ育ってきた中堅の社員ならこの流れを上手に掴んでいくものと確信しています。
 

“香港古書展、China in Print”に出展

香港古書展

香港古書展

香港古書展

当社はさる11月22-24日香港、ルネッサンス・ハーバー・ビュウ・ホテルで開催された古書展に参加いたしました。
会場には中国本土から収集家が初日から来場し、限られた古写真や西欧で刊行された写真入りの書物などに注目が集まっていました。多くが投資タイプの購入であったり、高額の現金購入や大幅な割引希望など、西欧の展示会に慣れている出展者にとっては試行錯誤の連続であったようです。しかし、西欧の古書類も将来の大きな市場になる可能性を信じて、業者はなお一層の市場調査や民族性の理解が求められると思います。今日まで展示会の発展に努めてきた私としても今後世界中の業界の協力によって、中国との取引の進展のために努力したいと思っています。
 

2014年にむけて

東日本大震災や新政府のスタートの影響で来期も教育予算(図書館)が増えるとは思われません。小さい日本市場では、あたかも30年前のバブル時代、大学新設が続いた時代、の再現を夢見た計画はあり得ません。今後市場を海外にも求めるとか、全く新しい商品開発(たとえば日本にある500以上の大学図書館が必ず一つは必要とする商品、システム等)に当社が持つ経験やブランドの蓄積を駆使していかねばなりません。
当社が世界でも屈指の事業として成長させたマイクロフィルム事業の延長線上でそのコンセプトを生かしたオンライン事業(J-DAC)や、海外から期待されているeBook型の商品開発、アジアの大手販売会社と組んだ事業や、世界に通用する復刻版製作企画等、雄松堂でなければできない仕事に知恵を結集すべきと思っています。
単に数値売上げのアップ戦略は、狭い市場の中で同業者間の消耗戦を招くだけです。
従来のあらゆるモデルを新しいものに変えるため、犠牲を払ってでも転換できるか、丸善CHIほか当社を取り巻く環境や、構成する社員が協力してくれるかにかかっています。
 
来る2014年が希望に満ちたものになるよう祈っています
 
2013年12月