Vol.90 マーケットの変化に雄松堂はどう対応するべきか?

日本の出版物の売り上げは、この10年で30%ほど下降しています。eBookやe-Journalの売上げは、新しい端末が開発されているため価格も下がっていますが、日本の出版物に限って言えば、まだ一部の本がeBook化されただけで、コミックなどを除いて、今のところ試行錯誤の段階だと思われます。しかし、動き出した出版界のメデイアの変化は様々な問題を解決しつつ急速に加速していくでしょう。
 
国会図書館は著作権のある本や雑誌も、ネットを通じて全国の図書館内で購読する場合は可能にするという考え方を発表しました。日本は日本語という共通の言語で統一されていますから、著作権に関する法律が変われば出版・図書館・書店に関わる流通が一気に変化すると思われます。例えば電子書籍の市場では今のところアマゾンが大きくリードしていますが、こうした市場も日本は世界有数の国となっていくかもしれません。
 
ただ、出版社と書店、図書館と書店との利害関係は、ややともすると肝心の読者や図書館の利用者の立場や利益をおろそかにしながら進んでいってしまう危険性があります。また他産業の大手企業が参入したおかげで日本の出版市場は大きく変化しつつあります。最近専門調査会社が分析したところによると、5年後くらいにはeBookの売り上げは日本の書籍売り上げの30%位に上昇し、出版社もこれに対応せざるを得ないとのことです。
 
雄松堂は半世紀にわたり、海外から専門書の輸入販売に徹してきました。絶版になれば古書市場を探し、需要が供給に追い付かない時には海外の版元と組んで複製版を制作し、それが大変価値のあるものの場合は高品質なファクシミリ版として供給してきました。一方でコンテンツが資料として高い価値があるにもかかわらず、入手が困難なものはマイクロフォーム化を促進してきました。それらは現在、日本ばかりではなく世界の大きな図書館に保管されています。
また、最近では大日本印刷 (DNP) が提唱してスタートした丸善CHIホールディングスに参加したことによって、価値の高い資料のデジタル化(J-DAC構想)の実現に向けて動き出しています。
 
ここ5年ほど大学市場の予算は減少を続けていますが、資料や文献の保管や利用範囲の拡大に関しては、国の推奨により高額な予算が組まれデジタル化が進んでいます。率直に言いますと、このような市場は欧米の大手企業の動向もあり、判断しがたいところも多いのですが、雄松堂が先導していける分野であると確信していますし、海外の版元と日本の業界や図書館との橋渡しの役割が私にはあると思っています。
 

進化が続く図書館総合展

第15回図書館総合展

第15回図書館総合展

当社の子会社JCC(カルチャー・ジャパン)が運営の母体となり、スタートした図書館総合展は今年15回を迎えます。10月29-31日において、パシフィコ横浜で開催いたしますが、7月に開催されたTIBF(東京国際ブックフェア)と並ぶ大きなイベントとして認知されるほどに成長しました。図書館総合展は、図書館産業に関連のある出版社、IT関連企業、図書館サポート関連企業が内外から参加しており、今年も毎年好評を得ている90近くに及ぶセミナーや講演会(フォーラム)が開催されます。この図書館総合展は変化を続ける図書館のあり方、メデイア、著作権、図書館における指定管理者制度等、常に日本における図書館関連における問題提起の会場として進化を続けてきました。また、毎回2万7千人を越える参加者が訪れ、図書館員の皆様の交流の場としても高い評価をいただいております。
 
今年から、図書館市場を支えている専門資料に焦点をあて、国内外の出版社が販売企画をたずさえて参加する傾向があるようです。しかしこのイベントをスタートさせた私の信条の根底にあるのは、やはり図書館を利用する人たちにとって図書館はどうあるべきか、どう進化するべきかを追求する場であるということです。
興味のある方はぜひ参加いただきますようお願いいたします。

    2013年雄松堂の行事予定

  • 8月17日(土)-23日(金) IFLA:International Federation of Library Associations and Institutions(国際図書館連盟)シンガポール大会展示会に出展(雄松堂の出展は18日~)ブースNO(D119)
  • 10月10日(木)-11日(金) 雄松堂国際古書展・古書談義 [本社ビル]
  • 10月29日(火)-31日(木) 図書館総合展 展示・セミナー等 [パシフィコ横浜]
  • 11月12日(火) Yushodo Forum 2013 法律実務関連セミナー [日比谷図書文化館]

 
2013年8月