Vol.9 2000年、大転換の到来か

2000年、大転換の到来か

私の40年近い会社経営や海外との交流を通じて、今年ほど世の中が変わってくる予感を実感した年はありませんでした。産業革命に匹敵するくらいの変化が大変な勢いで流れ始めたような気がします。革命ですから過去の栄光とか概念は崩れ去り、まったく新しいものがハイスピードで成長してくる可能性があります。革命は勝者と敗者を生み出します。こうした転換の兆候を、私共で関係した幾つかの事例からとりあげてみたいと思います。
 

”本”そのものに対する意識の変化

10月私共グループの一つであるJCCが企画母体となり、日本図書館協会等の絶大なご協力を得て実施した“図書館総合展”には14000人余の人々が来場して話題となりました。一方私自身は12月のはじめロンドンで開かれたオンラインの国際会議に参加してきました。この展示会と会議に関わり、あらためて考えたのは、2010年頃出版物や図書館はどうなるのであろうかということです。情報媒体としての出版物は、これからオンラインの中にさらに組み込まれていくことと思われます。より多くの人々により多くの情報を流してゆくことは、大いに奨励すべき事ですが、その反面、“本”を持つ機会、読む機会を減らしてしまうのではないかという危惧も出てきます。
 こうしたことが話題にのぼったとき、フランスの方がテレビやスクリーンを見る時間があったら、より多くの人と語り食べ、読む。人生は一回なのだから、とおっしゃっていたことが印象的でした。どっしりした重厚な雰囲気の図書館で本に囲まれているとき、家の書斎で棚を眺めている時、あなたはしあわせを感じませんか。
 不景気のため“本が売れない”という声がよく聞かれます。景気が良くなれば戻ると信じて今は我慢をする時と思っている経営者が多いのですが、情報化の急激な変化により本の役割自体が変わってきている中、好況に戻ったからといって本当に本は売れるようになるのでしょうか。皆様の率直なご意見を聞かせていただければ幸いです。
 

新しい情報と流通への適応

私共は西洋の稀覯書を輸入して日本の皆様に提供していく、世界的にも名の知られた専門店としてランクされています。日本の市場にあうような名著を海外の書店やオークションで買い付けて、日本国内にPRしたり、良品の在庫を持つことを基本的なビジネスとしてきました。しかしインターネットの時代、世界中のどこにいても瞬時に商品の情報が駆けめぐり、買い手も品物を選択するチャンスがさらに多くなっていくだろう事を考えますと、これからは将来、世界の市場で売れるような品揃えに徐々に転換を計る必要があると考えています。
今、欧米では好況で古書の市場も活況を呈しています。最近行われた恒例の私共の古書展も内容は10年前に比して決して劣らない品揃えでしたが、日本国内に比して海外からの引き合いや注文が多いのに驚かされました。
今年この欄で著作権の事、出版物の将来のこと、国際古書展の事等発表させていただきました。その中で書いてきたように、21世紀、人々は何を望んでいるのか、そしてそれにどう対応していくのか、これからが転換の正念場と思っております。
改めて2000年雄松堂は“本屋らしい本屋”を目指すことをお約束します。
皆様のご意見をお待ちしております。
 
1999年12月