Vol.8 1000年代、人類の発明は

1000年代、人類の発明は

最近世界中の様々な機関や、メディアが西暦1000年代の終幕にあたり「人類最大の発明は何か?」と特集を組んだり序列を発表したりしています。総合的に判断すると、共通して上位を占めるものの一つとして、15世紀半ばのグーテンベルクによる活字印刷術の発明が挙げられます。
人間は言葉によって、そして文字によって情報を伝達し、この地球に歴史を刻んできました。活字印刷の発明により、それまで手で書くことに限定されていたものが、大量に流通することになったのです。そしてこの1445年の大発明から1500年まで、印刷史や書誌学的に言うと揺籃期(インキュナビラ)の約50年間を経て、印刷技術の進歩は製紙技術の発展を促し、情報の流布する範囲も情報の量も飛躍的に拡大しました。  同時に情報の複製及び、保存が安易になったことに伴い、情報そのものに所有権が生じ、現代の言葉で言う知的所有権が発生したのもこのときからと思われます。
 

2000年代の情報の権利

最初に情報を創った人が権利を持つことを当然とし、複製、コピーと言う概念の基で著作権という考え方が生まれ、様々な歴史を経て現在の国際条約(ベルヌ条約、万国著作権条約)に至っています。
グーテンベルクの時代から550年、今また情報形態が飛躍的に変化していることから、第二の揺籃期であると言われています。
著作権の考え方の基本は著作権者の権利をどう守るかということですが、オンライン、デジタルの時代の著作物は、情報を受ける側の立場も考えながら扱わねばなりません。これからどのようなものが国際的に合意されていくか大変興味があります。
 

第一回図書館総合展について

10月13日~15日JCC(カルチャー・ジャパン)が運営母体となり、「図書館総合展」が東京国際フォーラムで開催され、私は第一回として注目のうちに開かれたこの「図書館総合展」の総責任者の大役を引き受けておりました。21世紀を迎え、新しい図書館のあり方を問われる中で、改めて図書館で働く人達、また図書館をマーケットとして運営している企業の人達と、「明るい夢を持とう」と声をかけ、実施に踏み切りました。3日間で延べ14000名余りの人達に“図書館”の名の下にお集まりいただき、セミナー会場等も満員の盛況だったことを喜んでいます。
また、会場の中に100平方メートルくらいの「国際古書展」の会場を設け、海外10余の書店の協力も得て、「古書その永遠の価値」を多くの人に見ていただき、”Yushodo, the Best in Japan” の業績を評価してもらったことは幸いでした。
最後にこの期間中、私共恒例のYushodo Forum ’99や第2回ゲスナー賞の発表を通じて、改めて「本とは何なのか」と考えさせられました。
どんなデジタル記録物や、情報が大量に世界を駆けめぐり、外国の本を日本の自宅でコンテンツまで読めるようになっても、「本を持つこと」「本が自分の近くにあること」の満足感と充実感は逆に大きくなるのではないか、と確信を持てたような気がします。私たち人類そのものは不変なのですから。
 
1999年11月