Vol.78 ‘本屋らしい本屋’でありたい

東京国際ブックフェアの印象

東京国際ブックフェア2011

東京国際ブックフェア2011

3月11日の東日本大震災から150日が経過しましたが、連日の報道からは全く先が見えてきません。一方アメリカまで巻き込んで異常な事態に至っている世界の経済情勢は各方面に不安感を与えています。節電、節約、夏休み、そして物価も上がっているのか下がってきているのか解りません。なにか五里霧中のままで毎日が過ぎ、暑くても礼儀正しかった日本人がなんとなくダラダラしているように見受けられてなりません。こんなことに慣れてしまった日本で良いのでしょうか。
7月初め、東京ビックサイトで開催されたTIBF(東京国際ブックフェアー)も参加者や出展者にとってこれから出版産業はどうなっていくのか見えてこないまま閉幕しました。昨年以上の来場者で大盛況でしたし、従来以上にデジタル、e-Book、オンラインなど、未来型といわれる他産業からの参加が、メディアの大革命期に来ていることを多くの人達に強い実感を与えたことは間違いありません。新時代の著作権の問題など山積された課題を残したまま月日はどんどん過ぎていきます。ネット端末は一気に進化し、あたかも図書館をカバンに入れて持ち運んでいるような時代になってきていますし、ある欧米の新聞が「これからは本屋さんも図書館も不要になるかもしれない」と伝えことは現実のものかもしれませんが、情報はこちらから求めるものに対して正確に答えてくれるもので、一方的に与えられるものではありません。本で調べること、読むことの価値観がこれからどう人間社会の中で存在していくのか10年後改めて2011年を回顧してみたいものです。
「情報はネットで 読む本は活字で」20年以上も前にアメリカの議会図書館長がネット時代の幕開けの頃に発した名言を再確認しながら今後も「本屋らしい本屋」でありたいと思っています。
 

雄松堂の秋

雄松堂・丸善アンティークブックフェア目録

雄松堂・丸善アンティークブックフェア目録

秋は雄松堂が業界やマスコミ、お客様に企画してきたことを発表し、皆様からのご意見をお伺いする為のイベントを長年にわたり実施してきたシーズンです。現在の世界の景気動向、そして日本では3月の災害の影響があったせいか、夢を持たせるような企画には乏しいと感じています。為替の大変動により海外取引についても対応を迫られていますが、雄松堂は蓄積してきた経験や取引先との協力を得ながら、いくつかの企画の準備を始めています。ぜひご参加いただき、とかく世界の中で取り残されてしまいそうな学術研究分野での事業の活性化の為、皆様のお力をお貸しいただきたいと存じます。
9月27日から30日まで、当社の本社ビルを使い恒例の国際古書展を開催します。
円高を利用しながら、当社はここ数年海外からトップクラスの名著を輸入してまいりました。一古書店の在庫としては世界でも屈指の企業として内外の図書館、愛書家の皆様から評価されています。不透明な時こそ世界に通用する資産として、文化財でもある古書類を収集されたらいかがでしょうか。古書展と同時開催の‘Yushodo Forum 2011’は9月27日から29日まで5名の講師をお招きして開催します。
既にお客様の間で話題になっておりますが、雄松堂は今年2月から大日本印刷が音頭を取って立ち上げた書籍流通グループ(MCHI)の一員として丸善と協業事業を計画しておりましたが、今回の企画は両社の共同事業として実施することになりました。それぞれの持つ伝統、客層などを調和させながらより精度の高いものとなるよう考えています。近く企画を発表しますので、どうぞご期待下さい。
また10月12日から丸善日本橋店のギャラリーでは、世界の美しい本や限定版などを丸善との共同主催で開催します。こちらも是非皆様にご覧頂きたいと存じます。
世界で通用する企業になるためには1+1を2でなく3にする経営努力と決断が求められます。ますますグローバル化する業界の中で、出来ることから着実に歩んでいく所存でございます。
 

大日本印刷やCengage Learningとのコラボレーション

私たちの役割は、海外から良品や企画を輸入して日本で販売することですが、日本からも海外に情報を発信したり、同時に国際的に通用する商品企画を海外の大手と共同で開発していきたいと思っています。大日本印刷と過去2年近く開発を続けてきた日本の情報をデジタルオンライン化する計画は‘ジャパンアーカイブズ(J-DAC)’第1号として秋に公開できる予定です。また欧米の図書館にあるアジア関連の資料のデジタル化や活字での出版についてはアメリカのCengage Learningをはじめ、著名な大学出版局との共同企画としていくつか同時進行しています。いま雄松堂は新時代、新世代に向けて躊躇することなく、人や企画に投資を続けてまいります。
 
2011年8月