Vol.70 混沌の先春が来るか?/中国・国家図書館新館を訪ねて/東京で開かれた国際古書展/雄松堂グループ新ビルへ移動

混沌の先春が来るか?

いよいよ4月、桜花とともに新しい年度を迎える時期に入りました。昨年の夏頃から秋、冬そして今年に入って一段と議論や提案が続出し、出版、書籍、流通そして図書館界から政府関係も含めて未来を模索する姿が会議やマスコミを賑わしています。
ある意味では戦後日本の文化を支えてきた日本独自のシステムや考え方が一気に動き出した感があります。問題点は基本的に海外からの波によって点火されたと言って過言ではありません。
グーグルやアマゾンの登場は、文化や文字の違いで日本には定着しないと言われていましたが、着実に出版文化の中で重要な地位を占めてきていると言って間違いないでしょう。著作権の問題、出版社、流通業界さらに新しいメディアの実用化にむけて急速に参入してきているIT、ハードなどの異業種、一方で国家予算に支えられながら新しい機運もスタートし、グローバル化の中で遅れを取り戻そうとしています。
国(官)の積極的な方針が提示されるなど、各立場の人達が時代の変化を認めつつも変化を好まない感覚が入り混じり、民vs 民、官vs民それぞれの立場で‘未来’に向けて意見を展開しているようです。
私はこの様相が5年間位続くと思いますし、どんな型で集約していくのか読めません。また、その頃この分野で世界がどう変化しているのか想像出来ません。その中で私は‘本’を読む人達、本を愛する人たちも着実に増えていくと確信しています。
昨年、雄松堂グループの関連会社、カルチャージャパンが大日本印刷と共同開発したポータルサイト“本のある時間”Time with Booksが着実にヒットを増やしているので、更に充実化を考えてるところです。“本に関係する”全ての人に贈る日本最大のサイトを夢見ています。
 

中国・国家図書館新館を訪ねて

昨年11月、共同通信発のニュースとして私が同館の図書館が所蔵している‘キリシタン版・金言集’が‘天下一本’の重要本であり、キリシタン版の中で過去に複製等が実現していなかった事が全国紙に大きく取り上げられました。その後、同館と交渉を重ね、日中共同版というユニークな企画として、今年4月に125部限定出版として「[復刻版]キリシタン版精選 金言集」を刊行することになりました。去る3月22日には同館を訪ね、図書館と出版記念の宴を開かせて戴きましたが、昨年完成した世界最高級の同館新館と、時代を先取りしている同館の経営方針の説明をうけ、驚きと感激の一日となりました。又同館所蔵の貴重書と日本の古典中国書籍の共同デジタル化計画について、私共が提案するよう要請されました。今後日中両国と図書館界の橋渡し役として、責を果していきたいと思っています。
 

国家図書館新館

国家図書館新館

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キリシタン版・金言集

キリシタン版・金言集


 

東京で開かれた国際古書展

去る3月11~13日六本木の泉ガーデンギャラリーで、日本古書籍商協会(ABAJ)主催、国際古書籍商連盟(ILAB)協賛の古書展“国際稀覯本フェア”が開かれ、3日間で780名余の方に来場していただきました。ブース設定も良く、会場も立派で、世界中20ヶ所位で開かれている同種の展示会の中では、トップクラスの展示会であったと思われます。折から欧米の古書業界が大不況の中にあり、従来に比べて海外からの出展者はやや少なかったのですが、1990年をピークとした洋古書の日本市場への大きな流れを、日本の業者と上手に協力して継続してきた業者数社の参加、日本の業者(特にマスコミを騒がす目玉商品は無かったのですが)の努力もあって、それなりの成果をあげたものと思われます。残念なことに大学市場の低調が続いている中で、新しいタイプの顧客層獲得をめざしていましたが、結果がどうだったのか少しずつその話題が聞こえてきているのが現状です。この20年位一気に花の咲いた古書展は今専門業者の力を借りて、世界で盛んに実施されていますが、ネットによる古書売買の出現と、実地で現物を見ることの出来る‘古書展’との相関関係について分析する必要があるのではないでしょうか。
 
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国際稀覯本フェア

国際稀覯本フェア


 

雄松堂グループ新ビルへ移動

雄松堂書店は株式会社として洋書輸入を四谷で始めてから今春丁度50年を迎えました。本社ビル、分室、事務所、茗荷谷のビル、山梨のYOCの倉庫等、何度か移転を経験してきましたが、42年前落成した現在の本社ビルと他に分れていた全事務所を統合して新しい時代に対応することを決断いたしました。
5月はじめから全ての業務を下記新ビルで開始いたします。現在の本社ビルから徒歩3分ほどの所で、靖国通りの中央大市ヶ谷キャンパス、防衛省正門から近い8階建てのビルです。ぜひ一度新装したショールームを訪ねてください。皆様のご来社をお待ちしております。
〒160-0002新宿区坂町27
 

新社屋(CG)

新社屋(CG)


 
2010年4月