Vol.60 張学良文書の公開

8月を迎えました。私共雄松堂グループの前期決算(6月末)の全体像が具体的になってきました。主要顧客である大学図書館の学術情報購入に充てる予算そのものは決して減っているわけではないのですが、予算に占めるメディアや管理費用についてその比率が大きく変わりつつあります。
 
国と民間で分担する業務について、更にグローバル化の中で雄松堂グループとしては異業種の方々の協力を得ながら民間でこそ実現できる、私共が主体となって進めていく事業について具体的な検討を開始いたしました。
 
6年位前になりますが、日中近代史研究上重要な資料として、以前からその公開が期待されていた“張学良”文書および口述録が同氏の御遺族からコロンビア大学図書館に寄贈、寄託され報道関係者に公開された記事が大きく取り上げられ話題を呼びました。その後内外から多くの研究者が同コレクションの調査のためコロンビア大学を訪れ、日本からも数多くの人達が調査のため同図書館に訪れ、人によっては長期にわたり滞在することになりました。貴重文書であり保存の関係上、また張学良自身が晩年ハワイでテープに収めた150余時間におよぶ“口述”は多くの人達からその“トランスクリプト”化が期待されていました。

 
私共雄松堂書店は長年にわたるコロンビア大学図書館との親密な交流のおかげで、文書の  保存目的も兼ねて全体で約5万ページ全てをマイクロフィルム(デジタル)化し、更に全テープの活字による出版権を得ることができました。ここに至ったのも、サンフランシスコ郊外に住んでおられる張学良のご子息、ロバート・チャン氏はじめコロンビア大学図書館のライアン館長、同アジア図書館ハインリッヒ館長、多くの皆様の協力のおかげだと思っています。更に英語化、中国語化等の製作過程実務や、マーケティング戦略上当社と親密な関係のあるアメリカ大手情報出版企業、センゲージラーニングのアジア本部との共同作業がなかったら実現は難しかったと思われます。またこの事業がコロンビア大学で進行する際、ちょうど早稲田大学から同大学に研究員として留学中であった劉教授の側面からのサポートも重要な役割のひとつでありました。
 
来る11月26日にはパシフィコ横浜で開かれる“第10回図書館総合展・学術情報オープンサミット”の会場において、同資料公開にあたっての記念シンポジウムを予定しています。
 
雄松堂は単に海外からの資料の輸入業にとどまらず、これからも資料の発掘、発信に向けてよりグローバルな視野で仕事をしていきたいと思っています。
 
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2008年8月