Vol.57 香港古書展その後の影響

昨年Vol. 56で、“西から東へ、動きだした古書業界”と題して古書・稀覯書のマーケットが動き出したことを報告しましたが、たった2ヶ月の間に香港古書展以来、古書業界で起こった大きな動きについて書かせていただきます。
最初に、12月中旬に私達3人(香港古書展の企画・運営をお引き受けした、シドニーのフェアイン氏、香港のリー氏と私)に香港古書展事務局から同展の全データに関して報告がありました。香港の若いスタッフ達の迅速かつ正確なデータ処理能力には感心しました。過去の私達古書業界人の手造り展と比較して、今回低コストで上手に運営できる事を知りました。結果は、有料入場者と招待券入場者が合計1.800名で、私達の予想を遥かに上回る3倍位に達しました。成功に繋った最大の理由は、当初この企画の広報担当者をネットで募集しましたが、台湾人でサンフランシスコ在住のフリー女性ジャーナリストと契約をしたことが良かったかと思われます。運営費、宿泊代等かなりの費用がかかりましたが、実に20以上のメディアスペースのPRに成功し、金額に換算すると1.500万円位の広告に相当すると思われます。又、香港の美術、出版等の専門誌には展示会場の壁面スペースを無料で提供する代わりに無料で雑誌広告スペースを提供してもらいました。
 
中国や香港の人達は小額でもクレジットカードを使う習慣があり、入場料はじめ小額の商品購入もクレジットカードを利用されました。香港のリーさんの会社スインドン書店に僅かな手数料で全て代行していただき、スムーズに処理され、1月下旬に出展者には全ての支払が完了しました。はっきりと売上実績の全てが判ったわけではありませんが、展示の最終日に各出展者に“いくら位売れましたか?”とアンケートを取った結果、会期中だけで日本円でトータル1億~1.3億円位あったと思われます。95%の出展者から来年もぜひ出展したいと強い要望を寄せられたことからも“成功だった”と言えるでしょう。しかも通常の展示会と異なり外部のお客様に売れた率が高かったと思われます。私達は、第1回の香港(中国)古書展ということで出展者の皆さんに、どんなものが売れるのか、何人来場されるのか全く予想はつかないが、将来へのチャンスにぜひともチャレンジして欲しいと出展参加を呼びかけました。11月に完成した立派なカタログを見ても、各出展者もどのようなものが中国市場に売れるのか暗中模索でしたが、今回の経験でこれからどうあるべきか、少なからずつかんだのではないかと思っています。今後どう判断し対応していくかはそれぞれの書店が考えることです。
 
勿論古く中国で刊行された古書等については、注目が集まりましたし、絵入、図版入りのものは中国語でなくても需要があったようです。日本の古書市場(オークション)や欧米の業界の間で中国書の関心、価格が急激に上昇して、実はすでに品薄状態と聞いています。元々日本や西欧の古書のように市場に多く流通していなかったものが多いことも原因の一つです。又私達が使いやすい書誌参考文献が非常に少なく、言葉の問題もあり種々と思考した結果、次回が楽しみです。
先週も香港に来られていた北京の有力書店が再び来日して日本の古書店を廻っていましたが、私もお会いし現在世界の古書業界の動向や中国の現状等について、深く意見交換をしました。
3月12日から日本古書籍商協会(ABAJ)が主催する古書展が東京で開かれますが、その際シドニーのフェアイン氏、香港のリー氏、お二人に来日していただいて2008年の方針を検討いたします。
2008年は私達出版、書籍業界は不安定でやや暗い雰囲気でのスタートでしたが、そんな中で“個性的”に私達でしかできないことに絞って前向きに挑戦し続けて参ります。
 

ABAJの開催する古書展

ABAJの開催する古書展


 
2008年2月