Vol.40 二極化進む古書市場:ABAJ(日本古書籍商協会)創立40周年記念記念古書展とライブラリートークを振り返って

ABAJ(日本古書籍商協会)創立40周年記念 記念古書展とライブラリートークを振り返って

私は丁度40年前、アメリカの著名な古書店の方々から、将来、日本でも西欧の有名な書物の古書が売れるようになるだろうからぜひ協会を作って国際組織(ILAB/国際古書籍商連盟)に加盟しなさい、と勧められたのをきっかけにして、有力な書店主を説得し、ABAJ(日本古書籍商協会)を組織しました。外国の古書を輸入して販売することなど全く期待できず、実績も無かった頃のことです。
それから約40年、ABAJの会員が日本を世界でも屈指の古書市場として成長させた功績は多大なものであることは周知のとおりです。
特にバブルがはじける以前の1970~1990年ぐらいの間には、世界の“名著”が日本に将来され、その殆どは大学図書館に納められました。いくつかの有名な大学は競って立派な蔵書を作り上げ、今では世界でも著名なコレクションとして評価を得ています。
 
創立40周年を迎えたABAJは、会員の総力を挙げて1月28~29両日、東京の新名所六本木ヒルズの49階において“世界の古書・日本の古書”展を開催しました。この展示会はILABの協力で、海外6カ国から16の書店も参加し、合計40書店の出展となりました。多くの新聞紙上に取り上げられたおかげで、今までこの種の書物に接したことのない多くの人々が来場され、私どもの予想よりはるかに多い1500名以上の方々に“著名な古書類”を実際に見ていただくチャンスを提供することができました。
 

ABAJ創立40周年記念にて

ABAJ創立40周年記念にて


 
IT化の時代,書物は比較的ウェブサイトによる販売に適していると言われます、その中でも特に古書類は新刊書のように再販制度によって価格が統一化されていないので、顧客は多くの情報の中から、安いもの、きれいなものを選んで購入可能になっています。既に欧米では売上の10%近くがウェブサイトによる売上であり、又、かなりの量がウェブサイトにより仕入れられていることがはっきりしています。
 
普通古本と言われるものや、比較的廉価のもので、単に読むだけのものはこの種の販売方式がどんどん進んでいくことは必至でしょう。多くの人が集まる、例えば本のメッカと言われる神保町で店舗をもつ必要はないかもしれないし、むしろ田舎の方でも立派な本屋さんの経営が出来るかもしれません。
一方で、資産的な価値のある古書や、余り好きな言葉ではありませんが“投資的な価値”のある本はやはり実際に手にとって実物に納得してから購入するという方が圧倒的に多いのは当然でしょう。 
今後は、世界中の古書店はIT化を念頭に入れながら、古本をどう仕入れどう販売するのか考える書店群と、一点一点を徹底的の調べ、付加価値を加えて取り扱う書店との二極化が進んでいくでしょう。
 
今、世界の多くの古書店がホームページを通じて販売をしているようです。そして一方では世界のあちらこちらで古書展が開催されています。初版発行から間もないハリーポッターの初版がなんと既に200万円もの値が付けられ、7~8年前、当社の目録に300万円で掲載されていた1776年刊のアダムスミス“国富論”が今は1000万でもなかなか見つかりません。低金利時代、しっかりしたものは立派な投資資産かもしれません。
今回の古書展のプレイベントとして、やはり六本木ヒルズの49階で開催しました荒俣宏氏、高宮利行氏両著名なブックコレクターによるライブラリートーク“本を買う楽しさ、集める楽しさ”にも多くの方々にお越しいただきました。欧米並みに、愛書家やコレクターに本を集めることを楽しんでいただけるためには、私たちのような書物を扱っている業者が、更に研鑚に努め、取引についても判り易いものにしていかなくてはならないと思っています。
 
ライブラリートーク:本を買う楽しさ、集める楽しさ

ライブラリートーク:本を買う楽しさ、集める楽しさ


 
ABAJは現在30の専門古書店によって構成されています、2005年中に40周年記念事業の第二騨として、新たな企画を計画中ですのでご期待ください。ABAJ加盟や活動についてはABAJのホームページhttp://www.abaj.gr.jp/をご覧下さい。
 
尚、先日3月25日にNII(国立情報学研究所)主催で行われたセミナー“本の未来、未来の本”で、2004年度は活字印刷の辞書類よりも電子辞書(年商約600億円)の売上げの方が多くなったと報告がありました。300万台以上売れたそうです。果たしてそのうち出版界にどの程度還元されたのでしょうか。
 
2005年4月