Vol.36 IPA(国際出版連合)ベルリン大会に参加して

IPAの大会は4年に一度開かれます。前回は2000年にアルゼンチンのブエノス・アイレスで開かれましたが、今回は世界の出版界に大きな影響力を与える出版大国ドイツのベルリンで開かれました。
IPAは、毎年フランクフルトの書籍見本市の時に参加国代表による総会や役員会が定期的に開かれ、その際、連合としての組織的なことは協議されているので、大会はややもするとお祭り的になることもあるのですが、今回は様相を一変し、約400名余、世界30カ国位からの参加者はすべての委員会や討論会に熱心に参加し、発言しました。特に70%以上を占めるヨーロッパ各国からの参加者にとっては、ベルリンはすでに何度も仕事や観光で訪れた所でもあり、会場のインターコンチネンタルホテルは多くの会員や関係者で満席のセッションもみられました。
 
日本からも朝倉(日本書籍出版協会)理事長、金原国際担当副理事長はじめ20名近くの会員が参加しました。私も担当の国際委員長として、全スケジュールに参加し、私を含め日本から4名がパネリストとして、又セッションの議長役として発表、発言のチャンスを得ました。IPA事務総長の最終総括の中に、多分初めてのことと思うのですが、日本からの提案として“小学校の時から著作権(知的財産権)のことについて教える必要がある。参加各国はIPAの総会の決議として各国政府に提言すべきである。”が記録に残りました。日本代表団の活躍は、多くの参加者から高い評価を得たと思います。
 
6月21日、大会初日の開会セレモニーに来賓として出席されたドイツのラウ大統領がご挨拶の中で、「世界60億に近い人の中に未だ10億以上の人が非識字者であろう。これらの人達が文字を使って情報を交換できることがどれだけ大切なことかはわかるであろう。出版界がこの解決に果たす役割は大きい。しかし、もっと問題なのは、今、読めるのに本を読まない人達が特に先進国に多い。何故なのか、出版界は自らの問題として考える必要がある。これら多くの人を私は第2の非識字者と呼ぶ」と話されていたのが印象的です。
 
大会のパネリストや発表者には図書館界や学術界、作家の方々が多く参加して熱心な討議が展開されました。私共出版社が主張する出版社の権利と図書館との接点、IT時代の著作権の問題等、問題は山積しています。どうすれば良い本、良いコンテンツをより多くの人に提供できるのか、また著作者が権利とメリットを得ることが出来るのか、永遠のテーマだと感じたのは私だけでしたでしょうか。4年前と本質的にあまり変わらない討議のような気がしました。
 
なお、私がセッション(写真参照)でスピーチした内容は雄松堂ホームページの“English Version”の中に要約を掲載いたしました。
 
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2004年8月