Vol.35 雄松堂の立場と責任

私共雄松堂書店と関連のグループ各社は創業70周年を越す老舗かもしれませんが、無店舗型の中小企業ですから、海外との接点を中心に学術文献情報については英知を集め、常にお客様の意向を読み取りながら次々と仕事を構築していかなければなりません。考えてみれば本当に休む間の無い40有余年、私なりに努力して会社の経営にあたってきました。
日本には約2.2兆円とも言われる出版、雑誌の業界があります。IT型のコンテンツや、オンライン型の発信も増えてきましたし、通常の“本屋さん”や“書店の営業マン”から品物を購入する以外の方法でオンライン注文型も活発ですが、やはり90以上は通常の書物を通常の方法で入手することが主流で、将来も科学技術等、一部の部門を除いて、この体勢は変わることはないと思われますし、予想されています。やはり人々が必要とする良い内容の本や雑誌を作ることが出版人の大切な使命なのです。
アマゾンコム等の進出で、海外から洋書が本当に安く入手できるようになりました。一時より20~40%位安く、これなら海外まで買いに行かなくても済みます。洋書の場合、日本語以外の言葉ですから、日本市場は限度があり、現在の年商1,000億円市場が倍増するのにはよほど輸入業者や販売システムに変化がないと大変難しいと思います。
6月20日からベルリンで開催されるIPA(国際出版連合)の大会(4年に一度開催)において、日本の出版界を代表し、国際出版協力パネルディスカッションに私もパネラーの一人として参加し、“本の海外販売戦略”に関するスピーチをする機会を得ました。(スピーチのアブストラクトを当社ホームページのNet Pinus 誌上(6月下旬掲載)News and Topicsにて公開します)
また、日本には2,000余の古書店があり、ほとんどが家族経営の店で、日本中の年商は500億円位と言われます。“ブックオフ型”の新古書店とは違う、いわゆる“古書”のことを指しています。古書の中でも貴重な古典や名著、一般的に稀覯書と言われる分野は、日本は世界の中でも有力な地位を占めています。
 
雄松堂(私自身)は、洋書輸入の業界(日本洋書協会)では広報担当理事、出版業界(日本書籍出版協会)では常任理事国際担当委員長、そして世界の稀覯書業界2,000店の国際古書籍商連盟(ILAB)の会員である日本古書籍商協会(ABAJ)の会長として今年40周年を祝う責任者にあります。上記3つの内2つ位に有力な業種をもつ企業はいくつかあるのですが、3つともそれぞれ小さいけれど専門的なブランドをもつのは雄松堂書店が永い間築いてきた産物なのです。
ますます複合化し、国際化してきている昨今、このような立場に私共の企業グループがあることに責任を感じながら良い仕事を続けていくつもりです。
このような関係から当社のリーダーシップのもとでスタートした合弁会社(株)カルチャー・ジャパン(JCC)の本の保管業務は、さらに日本唯一、世界でも著名になりつつある年1回の“図書館総合展”の主催等によりさらに底辺が広がっています。
 
2004年6月