Vol.33 動き出した変改の波

今年の年末年始は好天が続き穏やかでした。何となく人の動きも目立つようになり、“2004年こそは”と思わせる種々の数値も目立ってきました。
再販制度の維持と目に見える弾力的な運用、そして公貸権、著作権等、図書館や研究者、企業との出版社の権利をめぐる問題、一方で新古書店の関係で話題になっている“万引き”の問題、出版界も連続する不況に対して相変わらず守りの問題解決に終始し、その根底にあるIT化時代、グローバル化の時代、少子高齢化の問題等、基本的な時代の変化についての認識は未だはっきり見えていないようです。
 
今、出版界や書店等販売関係者、図書の輸出入業者やそれを支える印刷、製本、広告、配給等に携わる人々の中で何人の人がこの業界を生活の基盤にしているでしょうか。雑誌を含め2.3兆円の年商でこれらの多くの人達が希望をもって仕事を続けていけるのに十分でしょうか。
本やオンライン情報は他の多くの商品と異なり、基本的にはどんな入手方法でも同じ価値があるわけですから、結論から言えば“安いほうが良い”に決まっています。従って再販制度の価値があるわけで、それらを守るために業界が強く同調するのは当然です。
しかし、経済性の面からすれば問題を抱えています。改めて業界あげて需要を掘り起こすことに力を注ぐべきだと思います。競争相手は同業界でなく他産業界なのです。
 
私共雄松堂のビジネスの主力は海外から書物を輸入して主として研究者や特別な古書(初版本等資産価値の高いもの)の収集家に販売することですが、これらの部門でも今、世界中の書店の在庫情報がネットで世界中を駆け回っています。活用する能力のある人は、私共経験をつんだ業者が入手できる情報と同じ位の情報は容易に入手できるものと想定されます。
こんな大きな変化の波はメーカーと最終顧客を直結し、中間である業者の立場を脅かしています。“日本だけは別”と考えていた欧米の出版社もマーケティングを変えつつあります。
富める者が一段と有利になりかねない状況の中で、文化の担い手として出版、書籍の業界人はより価値の高い商品造りに情熱を注ぎ、市場が本当に求めているものを提供する努力を続ける責任を感じています。
 
2004年2月