Vol.19 出版人の責任

一段と、しかも急速に進む高度な情報化の波の中で、最近、何人かの人から“再販制度の維持”や著作権の問題における“出版権”について、結論から言えば“出版人が自分の権利を主張しているだけではないか”と厳しい意見を聞くことがあります。たしかに税法上、売れ残った出版物は廃棄処分しなければ損金として認められませんし、図書館でのコピー問題でも対立する論点が多いようです。
 長く不況が続き、過去5年で10%以上売上が下降し、出版メディア以外でも大量な情報が簡単にしかも安く入手できる時代に突入した今、私達出版経営者も、つい読者の立場を忘れ、目先のことに走りがちなことを認めざるを得ません。
 欧米ではこの10年位、出版情報産業を投資の一つとして大型化、グローバル化が進んでいます。一人一人の読者の立場に立った地味な企画はどうしても成立されにくい現状が日本の出版界にも充満しています。そもそも出版業や本屋さんは地味なもので、そんなに儲かる企業型のものではないはずです。しかし、多くの人々がこの産業を生活の場とし、また多くの読者や図書館から良い本の提供を期待されている以上、ビジネスとして成立させていく責任も持たねばなりません。
 雄松堂グループは来年2002年、創業70周年を迎えるため、今年から来春までを60周年代締めくくりの年として、具体的ないくつかの事柄を解決し、前向きに投資を実施していくことを考えています。年内11月15日からの第3回図書館総合展会場での“古代文字展”等の企画や“グローバル時代の印刷文化”をタイトルとした雄松堂フォーラム2001等、1960年以来40余年続けてきた私どもの仕事を集約して皆様からの評価をいただきたいと思っています。当日には第I輯、第II輯と続けてきた当社活字出版の集大成“新異国叢書”第III輯についても創業70周年の企画として発表の予定です。
 
2001年10月