Vol.15 新世紀の幕開け

新しい世紀がスタートしました。未知の世界に向かって日本が勝組として残れるよう一人一人が努力する時と思っています。
 

新世紀と出版界の役割

出版界は再販制度(基本的に全国どこでも同じ値段で本が買える制度)の維持、デジタル時代における出版者の立場としての権利(出版権)の確立、そしてグローバルな著作権の問題について、出版社の立場としては合意のもとで新しい世紀に入りました。

しかし本は造る際に基本コストが占める部分が高く、部数によって変化する変動費の占める部分が低い典型的な商品です。現在、印刷技術の進歩に支えられながら、なるべく少部数に押さえ、売り切れれば刷り増しを行い、もし売れ残れば税法の関係で廃棄処分にすることが一般的です。しかし改めて再販制度をより弾力的に運用して、割引価格の本を多くの人に買っていただくということも、検討されてよいのではないでしょうか。

1年平均2%位の売り上げダウンが続く出版界です。これが5年続けば10%減となり、各版元の経営を活性化する為にはぎりぎりの数字となってしまいます。単純にリストラなどと考えずに、図書館マーケットの拡大なども念頭に入れ、どうすれば良い本を多くの人に買っていただけるのか、出版界がその真価を問われる新しい世紀の幕開けです。
 

東京国際ブックフェア

今年の東京国際ブックフェアは4月19日~22日まで、有明のビックサイトで開かれます。昨年より10%増のスペースや、毎日の閉会時間を1時間延長して午後7時にするなど、開催規模の拡大が予定されています。会場内に「日本におけるイタリア年」を記念し、1000平方メートル以上の大きなイタリアブースを設けて、“文化面のイタリア・出版、印刷の先進国イタリア”を紹介することになっています。私共、雄松堂書店はイタリア文化会館に協力して“イタリアの名著出版の歴史”というような形の催しに私共の収蔵品や経験を生かすことにしています。
 

欧文名著の復刻について

雄松堂書店ではしばらく中断していた、欧文名著のファクシミリ版の限定出版を現代最高の印刷、造本技術を駆使して、欧米の出版社と共同で計画しています。第1弾として西洋人が16~18世紀に作図、印刷した日本の地図12枚をセットにし、解説付きで製作する予定です。デジタル化の中で、2001年はこうした限定出版を4、5点企画し、手に触れる紙の感触、限定版でのみ得られる価値等を世界の愛書家、図書館に向けて発信してまいります。ご期待下さい。
 

2001年のマイクロフィルム

私共で取り扱うマイクロフィルムによる世界の古典資料類、出版物の複製はこの35年で一千万ページに達しています。デジタル型の保存が30年位と言われている中で、マイクロフィルム型は200~300年の保存性が確認されています。このことから少数需要への対応、製作/コピーの簡略化等を考慮したマイクロ化による保存が、昨年開かれた各種会議などで再確認されました。資料所有者と協力し、世界屈指のマイクロフィルム出版社として2001年も保存・活用の必要な資料コンテンツの撮影を続けて参ります。(出版目録を御請求下さい)
 
2001年2月