Vol.14 今年後半をふりかえって

数年前まで話題の中心だったCD-ROMが出版界のIT化の中から消えつつあり“ON LINEと活字印刷の共生”へとテーマが大きく転換しつつあります。3カ月に一度くらいの割合で書かせていただいている報告もそうした変化をうけ、一年前と内容も様変わりしている傾向にあると感じます。

2000年(ミレニアム年)も1カ月を残すばかりになりました。今回は総括として今年後半の“本”に関するいくつかの会合や催しについて報告します。

 

AIB(国際ビブリオフィル協会)ベルリン大会

9月17日~21日ベルリンを中心に12カ国、150余名が参加して開かれました。ドイツ統一から満10周年にあたることもありますが、ヨーロッパの人達が想像以上にベルリンに深く興味をもっていることに驚きました。ベルリンはこれから急速にヨーロッパ文化の中心として発展していくと思われます。勿論博物館等も充実が図られ、補修等が活発に進められていくことでしょう。
2、3日の観光目的で訪れるなら統合のシンボルであるヒンデンベルグ門や記念に保存されている壁、ソニーの大型施設が完成したポツダム広場、そして最近味が良くなったと評判のドイツ料理等、ぜひお薦めしたいスポットです。

AIBは昨年、日本で大会を開いた関係で私共も報告の義務があったことや、又私自身ベルリンには大変関心をもっていることも手伝って、今回の大会は大きな期待を持ち参加させていただきました。同地にAIBの会員が一人も居なかった関係で、旅行社がスケジュールを全てコントロールしていた為、私どもビブリオフィルの要望と若干差異はありましたが、ベルリンの“本”に係わる諸機関を4日間で、ほとんど全てじっくり見学することができました。

特に見学の大きな目的である、東西ベルリン2カ所の国立図書館において、館のそれぞれの部門担当責任者に蔵書(古書、コレクション類)を一冊一冊、解説していただいたことは興味深いものでした。第二次世界大戦で戦火を経た同館の蔵書がどの様に守られ、散逸をふせいだのか、東西それぞれ戦後どの様に蔵書を再構築していったのか等の説明は、あたかもドラマを見ているようでした。東と西との違い、英語があまり通用しない現状、“あっと驚くような本”が保存されているのに、ベルリンの国立図書館には当然あると思われる物が無い・・・これらのことをふまえ、資金的に大変ではあるけれど、JAMERS館長が東西二つの図書館の機能を、一歩一歩集結し、ヨーロッパ大陸の中心となるべき図書館構築へ向けての抱負を語ってくれたことに大変感銘を受けました。AIBの来訪を記念して刊行された“ドイツ・ベルリン国立図書館所蔵 稀覯書目録”(独文)を20部、特別に分けていただき、日本国内の主な図書館に配布させていただく事をお約束しました。
2001年のAIBはスペインのバルセロナを中心に開かれます。
 

フランクフルトブックフェア

10月18日~23日、今年は“ポーランド年”をテーマに開かれました。同国をテーマにした事でも判るように、今年は東欧やアジア諸国からの出展参加が活発でした。特にいくつかの国は政府が、国の出版活動を積極的に応援している様子がはっきりあらわれてれていました。昨年若干減少した入場者数も、今年は30万人台に復活しました。出版界で急速にIT型の企画が増える一方、じっくりと造りあげた活字出版への熱心な取り組みにも興味をそそりました。

主催者であるドイツ出版協会のウルマー会長が「グーテンベルグ生誕600年」を引き合いにしながら「印刷本の重要性と電子出版の共存」を強調したことも展示会全体の活気をより盛り上げたように思われます。

尚、出展社は約6900社、参加国107カ国、出品点数は約38万タイトルと発表されましたが、残念ながら日本からの出展等は10年位前の勢いが感じられず、低調気味だったのが気になりました。フランクフルトでは会期中に、国際出版連合はじめ出版や著作権に関する諸々の会合が開かれます。その会合の中で日本における再販制度の維持として、目下論争の中心となっている“定価制度”が、出版活動にとり、そして利用者にとりいかに重要なのか、ほぼ100%に近いコンセンサスを得たと思われました。

このサイトをご覧の皆様も10月頃ヨーロッパに出かけるチャンスがある方は、是非一度一日ゆっくりとフランクフルトのブックフェアーをご見学されるようにお薦めいたします。
 

図書館総合展

私どもが主要株主でもあるJCC主催の第2回 LIBRARY FAIR & FORUMが11月15~18日、有楽町の東京国際フォーラムで開催されました。今年は昨年の13%増である17500名の方々のご来場を得て、着実に一歩前進したと思われます。21世紀、“図書館”の占める地位が益々大きなものになると思われる今日、図書館に関係のある方、興味のある方を対象に、一年一度、総結集の場として、又、色々な意見やアイディアを披露する場として、来年の大会(2001年11月15~17日)に期待します。
 
2000年12月