Vol.10 輸入業界の変容について

輸入書業界の変容について

私どもは海外から学術文献を輸入して国内の研究機関にお納めするのを主な仕事としておりますが、最近この分野のビジネスで見られる大きな変化をご報告させていただきます。皆様からのご感想を聞かせていただければ幸いと思います。

国内の外国資料市場の規模は1000億円弱と推定され、この市場のほとんどを占める輸入洋書(雑誌を含む)を大別して2つに分ける事が出来ます。
 

一般書籍の分野における変容

一つは一般の外国語の書物、つまり料理、旅行、ファッション等の実用書から文学、法律、会計等の多岐にわたったもので、価格にすると平均30ドル~100ドル位のものです。これらは勿論大学や、研究機関、企業等組織で購入するものもありますが、主として個人の方が購入することが多く見受けられ、販売額は洋書全体の三分の一位だと思われます。
この分野においてここ数年、革新的な変化が流通の上で起こりつつあります。みなさんもご存じのように、オンラインビジネスの代表的な形でもあるアメリカ発信のオンラインショップが台頭してきたということです。
典型的な「アマゾン」を例にあげてみますと驚異的な普及に足る大きな利点があることが分かります。アメリカは日本と違い、再販がなく、小売価は一定に設定されていませんので、「アマゾン」のシステムを通せば、ものによっては30~40%割引価格で買うことができます。勿論、日本で個人が1、2冊買う場合などは手数料や送料を加えますと、日本の洋書専門の書店から購入するよりもずっと安くなるというわけにはいきませんが、やはり、まとめて洋書を購入する場合など、利用価値は大きいと思われます。また「アマゾン」にはさらにもう一つ、他の追従を許さない注文から入手までのスピードという大きな魅力があります。日本の書店から本を購入する場合、店頭等に在庫されている物を除けば2、3週、長くて1ヶ月以上も入手するのに時間がかかります。「アマゾン」は独自の配送システムによりこの難点を見事にクリアしています。
低価格、ハイスピードという大きな利点を兼ね備えた、「アマゾン」のビジネス形態は、このオンラインビジネスの競争時代の中にあって、毎年10%以上づつ増えていくことが予想されているのです。
しかし、私は「アマゾン」でも決して立ち入ることのできない洋書に対する日本人の意識という問題があると考えます。比較的安価で、中身もある程度予測できるものでしたら、自宅で欲しい本を検索し、安価に手に入れることのできる「アマゾン」型のオンラインショップほど便利なものはないでしょう。しかし、日本語の本を買う場合とは違い、洋書は実際に本を手にとって納得してから購入を考えるケースが多いのではないでしょうか。手に取ってみる程の情報量を画面だけに凝縮するのは、これからいかに技術的な面が進んでも難しいと思われます。これからは私共、業者が流通や販売にかかるコストを削減して、いかに早く安くお客様に品物が提供できるかにかかっています。
 

専門書籍の分野における変容

輸入洋書におけるもう一つのマーケット分野は、戦後、金額的に主力を占めてきた大学図書館、研究機関、企業図書館の求める専門書に代表されるものです。戦後まだ日本の外貨事情が悪かった頃でもこの分野には外貨を使わせてくれました。輸入洋書を通じて諸外国の情報データを入手出来たことが、日本の戦後の発展に大きな役割を占めていると考え、これらを普及させてきた私共業者の努力は大きく評価されることではないでしょうか。
しかし、今この分野はオンラインメディアの登場、そして外資系の業者の参入により、大きく変わろうとしています。「輸入書籍は非課税」という特例を利用して攻勢をかけてきています。不公正な取引と言っても過言ではありません。私はこの際、日本政府は次回の消費税法は洋書学術文献に限って消費税を免除するくらいの英断を望むものです。
ご意見ご感想をどうかお寄せ下さい。
 
2000年2月