2012.10.01

Written by Eminent Japanese Authorities and Scholars.
Edited by Captain F. Brinkley of Tokyo, Japan.
With Essays on Japanese Art by Kakuzo Okakura, and a new Essay for the Folio Society Edition by David Perkins.
Volume I: (xvii), 1-190pp. with 40 color plates.
Volume II: (ix), 191-398pp. with 40 color plates.
Both volumes measure 32 x 41cm
First published by J.B. Millet Company, Boston, in 1897-1898.
Bound in full cloth, blocked in three colours with a design by Neil Gower.
Chiyogami endpapers hand-printed in Japan. Gilded on all three page edges.
Presented in cloth-bound slipcases.
Hand-numbered on a special limitation page.
Facsimile edition: The Folio Society, 2012, London.

定価204,687円 (税込)

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名古屋

名古屋

奈良

奈良

上野

上野

クズ屋 扇屋 宴会

旅芸人1 旅芸人2 旅芸人3

花1 花2 花3

 本書の製作を企画したJ.B. Millet社は編集者として、アイルランド出身の兵士であったフランシス・ブリンクリーを指名しました。彼は武士の娘と結婚して日本に帰化し、「ジャパン‐メール」紙を発行していた人物で、日本文化紹介の功績者と言われています。彼は日本の作家を集め、「初期日本とその歴史」、「信条と階級」、「儀式と娯楽」などの見出しの下に、日本を西洋に解説する文章の執筆を依頼しました。これらの作家はほとんどが匿名ですが、西洋の読者に向けられた興味深い文章が集められています。特に着目すべき序文には「日本人からアメリカ人へ送られた特別大使」と書かれ、行間には日米関係史の中での重要な瞬間がうかがうことができるなど、歴史的観点からも着目すべき点も多く、19世紀の最も画期的な出版事業のひとつである書籍といえるでしょう。本書の刊行は現在の価格で数億円に相当する大規模な企画であったためコレクターからの予約購読を集めただけでなく、J.B. Millet社は日本政府からの財政支援も取り付けました。当時、日清戦争での勝利に続き、世界の舞台で日本を紹介することに熱心であった政府にとって、本書はただ単に美しい本であるというだけでなく、宣伝的な意味を持っていたのです。

 オリジナルの書籍の製作は、全て日本で撮影され、写真は1枚1枚プリント、洗浄、固定、色調調節、乾燥、切り取り、手彩色され、ページに貼り付けられました。写真は鶏卵紙を使用した銀塩写真で、後のゼラチン乾板写真法やコロジオン湿版写真法よりも時間のかかる方式でした。
 また、この書籍に収められている写真の最大の特徴は手彩色です。この手法の大半は後に機械的な着色に取って代わられますが、当時は伝統的なひとつの技術として認められていました。
当時の日本人はもともと扇子、提灯や版画などの装飾品の手彩色に優れ、1880年代にはその専門技術を写真着色に応用するに至りました。本書の製作にあたっては、約350人もの彩色技術者が1年にわたって関わり、各人が1日に彩色できたのは多くて3枚であったと推定されています。乾板製法やコロタイプなど当時最新の写真術のパイオニアであった小川一真による、日本の花を撮影したフルページ10枚のコロタイプ写真も含まれています。また、日本美術院の創設者であり近代日本における最も影響力のある日本美術史家の1人であった日本美学研究の開拓者、岡倉覚三(岡倉天心)による10点の小論文も掲載されています。

装幀

BOOk 1878年、作家ジョージ_オーガスタス_サラが「“ジャポニスム”は一種の宗教であった」と語っているように、19世紀末、日本文化に対する過剰ともいえる関心は西洋世界全体に広がっていました。2世紀におよぶ鎖国政策ののち、日本の門戸が海外に開かれ、その芸術と工芸品が流出するやいなや、収集家や芸術家の注目の的となったのです。特にボストンは茶交易に関与していたため、その動向の震源地でした。そうした中、1890年代、ボストンのJ. B. Millet社は、「Japan, Described and Illustrated by the Japanese」と題する日本の完全なる図録を制作するという冒険的企画に着手しました。今回この驚くべき書籍がThe Folio Societyによって初めて完全に再現されました。