「ただ、一さいは過ぎて行きます。」
——インクのにじみも鮮やかに、よみがえる太宰の魂

太宰治 直筆原稿集 [DVD版]
第1巻 「右大臣実朝」ほか | DVD1枚 別冊解題付 |
第2巻 「斜陽」「桜桃」ほか | DVD1枚 別冊解題付 |
第3巻 「人間失格」、草稿その他 | DVD1枚 別冊解題付 |
エッセイ | 鳥居邦朗、東郷克美、山内祥史 |
解題執筆 | 安藤 宏 |
編集・発行 | 公益財団法人 日本近代文学館 |
編集委員 | 中島国彦、紅野謙介、安藤 宏 |
定 価 | 3枚セット価格 90,000円+税 ISBN 978-4-8419-0659-2(set) |
動作環境 | Windows,Macintosh 対応 |
- *日本近代文学館が所蔵する太宰治直筆原稿・草稿22作品と、その他草稿断片・草案あわせて34点3417枚。
- *旺盛な執筆時期の後半、昭和17年以降の主要作品を網羅。
- *「斜陽」「人間失格」「グッド・バイ」の3点は完全原稿に加え草稿を収録。作品完成への道筋が明らかに。
- *原稿画像は拡大・縮小が自由自在で、細かなペンの跡まで鮮やか。より深い鑑賞が可能に。
- *初出誌は主に太宰本人の書き入れのあるものを収録(太宰治文庫所蔵資料)。原稿は太宰の形見の着物を表紙に用いた和綴になっており、美知子夫人が手元で大切に保存していた貴重なものである。
- *太宰研究の専門家による巻頭エッセイと解題付き。
収録資料 |
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第1巻 「右大臣実朝」ほか |
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正義と微笑(S17) | 583枚 |
黄村先生言行録(S18) | 74枚 |
右大臣実朝(S18) | 605枚 |
第2巻 「斜陽」「桜桃」ほか |
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冬の花火(S21) | 124枚 |
春の枯葉(S21) | 148枚 |
男女同権(S21) | 43枚 |
トカトントン(S22) | 35枚 |
母(S22) | 44枚 |
父(S22) | 43枚 |
女神(S22) | 41枚 |
斜陽(S22) | 521枚 |
同草稿 | 42枚 |
フォスフォレッスセンス(S22) | 26枚 |
おさん(S22) | 60枚 |
犯人(S23) | 50枚 |
饗応夫人(S23) | 39枚 |
美男子と煙草(S23) | 27枚 |
眉山(S23) | 43枚 |
『井伏鱒二選集』第一巻後記(S23) | 21枚 |
女類(S23) | 45枚 |
桜桃(S23) | 30枚 |
第3巻 「人間失格」、草稿その他 |
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人間失格(S23) | 412枚 |
同草稿 | 157枚 |
グッド・バイ(S23) | 36枚 |
同草稿 | 31枚 |
未定稿[カレツヂ・ユーモア ・東京帝国大学の巻](断片) | 25枚 |
貴族風(草稿断片) | 24枚 |
悖徳の歌留多(草稿断片) | 10枚 |
花燭 (草稿断片) | 18枚 |
大鴉(断片) | 5枚 |
如是我聞(草稿) | 13枚 |
「惜別」の意図 | 11枚 |
全集目次案 | 12枚 |
『井伏鱒二選集』草案 | 19枚 |
原稿の公開にあたって
東京大学教授 安藤 宏
日本近代文学館の「太宰治文庫」は、1987(昭和62)年に美知子夫人から寄贈された233点の太宰治資料をもとに開設された。この中で特に重要な意味を持っていたのが太宰治の直筆原稿33点(小説の完成原稿は20点)で、中には『人間失格』『斜陽』『右大臣実朝』『正義と微笑』等、太宰文学を代表する長編小説の完全原稿が含まれていたのである。これらは夫人が太宰の没後、40年にわたって管理されていたもので、編集者から返却されたもの以外に、ご自身で収集されたものもあったようだ。また、「貴族風」「花燭」「悖徳の歌留多」などの草稿断片も含まれているが、これらは夫人が太宰の遺品のリンゴ箱に張り紙として用いられていた反故原稿を、丹念にはがして保管されていたものであることも知られている。さらに1998(平成10)年、あらたに『人間失格』『斜陽』等の草稿が公開され、追加寄贈されたことも記憶に新しい。こうした経緯もあって、われわれ研究者は今日、幸運にも現存する太宰の肉筆原稿の七割以上を「太宰治文庫」で閲覧することができるわけである。だが『人間失格』など一部を除き、作品全体を写真版で目の当たりにすることは不可能で、今回の企画によって全国の研究者、愛読者が自宅でいながらにして太宰の直筆に触れることのできる意義はきわめて大きい。かつて日々、日参して実物にあたり、メモをとっていた体験を振り返るとまことに感慨深いものがある。編集にあたっては予断を交えた分析を控え、「素材」の正確な"再現"と基本データの提示に努めた。詳細な分析は今後にゆだねられており、これによって太宰文学の文献学的な研究が大きく進展することを願う次第である。
「人間失格」の完成原稿まで |
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<草稿1> |
→ | <草稿2> |
→ | <完成原稿> |

形見の着物を表紙に和綴にされている原稿の一部
太宰治と日本近代文学館「太宰治文庫」について
太宰治は、1909(明治42)年、青森県北津軽郡金木村に生まれ、旧制青森中学、弘前高校を経て東大仏文科へ入学。1936(昭和11)年に最初の作品集『晩年』を刊行。ほかに「ダス・ゲマイネ」「お伽草紙」「ヴィヨンの妻」「斜陽」「人間失格」など数々のすぐれた文学作品を生んだ。1948(昭和23)年玉川上水で入水自殺。
残された原稿や蔵書等の貴重資料は、1987年に太宰治夫人津島美知子氏より日本近代文学館へ寄贈され、「太宰治文庫」として保存されている。
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=関連商品=
オンライン版「日本近代文学館所蔵 太宰治 自筆資料集」
日本近代文学館が所蔵する太宰治直筆原稿・草稿・草案等34点3417枚のほかに、旧制青森中学・旧制弘前高校時代の日記・ノート・同人雑誌など周辺資料を収録する。
編集・発行:日本近代文学館 解題執筆:安藤 宏・山口 徹
2014年3月リリース 価格:300,000円(税別)
プラットフォーム:ジャパン デジタル アーカイブズ センター(J-DAC)