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■ 近年の思想史研究の新潮流にも対応しうるデータベース

慶應義塾大学 経済学部  壽里 竜 教授

 Eighteenth Century Collection Onlineに代表される各種データベースが網羅する時代・地域・分野はますます拡大されているが、このEighteenth Century Journals(以下ECJ)は、いわゆる「公共圏」の成立に中心的な役割を果たしたとされる18世紀英語圏の定期刊行物に特化している。定期刊行物は、当時の社会動向についての生々しい論評に溢れる貴重な史料ではあるが、その多くは国内外の図書館に分散して収蔵され、アクセスしにくい。しかも活字がきわめて小さく、現物でも読みにくい。これら定期刊行物がデータベース化されることのメリットは計り知れない。

 

 類似のデータベースに17th and 18th Century Burney Collectionがあるが、前者とECJとのタイトルの重複は、ざっと調べたところModule IとIIについては約25%、Module IIIでは10%弱であった(仮に収録タイトルが重複していても、収録されている号が異なる場合も多い)。Module IVとVについては19世紀以降の雑誌も含まれるので、19世紀を中心とするBritish Library Newspaperというデータベースも合わせて調べたが、ほぼ重複タイトルはなかった。

 

 ECJに収録されているタイトルは、主題と地域という点で多様である。たとえば、Module IIや Vには女性を主たる読者層とした、FemaleやLady’sという語をタイトルに含む雑誌が収録されている。Module IIIにはカルカッタ、ボンベイなどで刊行された雑誌が並ぶ。近年の思想史研究の新潮流とも言える、啓蒙期における女性のプレゼンス、グローバル・インテレクチュアル・ヒストリーという視点からも、これらの史料の価値はますます高まるだろう。

 

 テキスト認識の精度は、現物の文字の小ささを考えれば、かなり高い。読みとれない部分はillegible(判読不可)を意味する[ILL]という記号で表示されるが、オリジナル画像を拡大して確認できる。オリジナル画像でも読みにくい場合も、たいていは前後の文脈から推測可能な範囲である。また、二つのキーワードの間に「w/文字数」を入れると、その語数内で離れている場合のみを検索できる。それなりに高額なのはやむを得ないとしても、買い切り制なので、価格高騰や為替変動で継続利用ができなくなるという(近年、電子ジャーナルなどで問題となっている)心配がない点も最後に付け加えておきたい。