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■ 韓国の姿を世界に知らしめる「窓」

神戸大学 大学院国際協力研究科 木村 幹 教授
国際連携推進機構 アジア総合学術センター長

 ある国を分析するに当たり、正確で詳細な情報を入手するにはどうすべきか。その主要な方法の一つは、現地で広く読まれている新聞に当たる事だ。今日では多くの新聞等の記事がデータベース化されており、容易にアクセスできるようになっている。


 しかし、そんな時、多くの人の前に立ちふさがるのが「言語の壁」だ。どんなに豊富な情報が含まれていても、書かれている言語がわからなければ手も足も出ない。翻訳するにしても膨大な記事の中からどれを訳すべきかを知る為にも、やはり言語の知識が必要だ。そして、その「壁」は、多くの国を横断的に研究する者、或いはその国の政治や社会等を専門にしないものにとっては極めて高い。


 そんな時、有用なツールとなるのが「現地で発行されている英字紙」である。本データベースに記事が収録されているThe Korea Timesは、朝鮮戦争さ中の1950年11月に創刊された、韓国において最も歴史がある今日まで続く英字紙である。しかし今日までこの新聞のアーカイブは、同社ホームページ上により利用できるものを除けば、世界的な記事データベースであるLexis Advance上で、1998年6月以降のものが利用できたに過ぎなかった。


 その意味で、本データベースの発売により、歴史あるThe Korea Timesの大部分の記事にアクセス可能になった事は、これまで韓国語を読めるものに限られていた、韓国や朝鮮半島に関わる詳細な事実に、より多くの人々が直接触れられるようになった事を意味している。だが、本データベースの価値はそれだけではない。The Korea Timesは韓国のみならず、韓国外でも最もよく読まれている韓国系英字紙であり、韓国の姿を世界に知らしめる「窓」としての役割をも果たしてきた。だからこそ、この新聞には時に、厳しい言論統制が敷かれた権威主義体制期において、韓国語紙には掲載が不可能であった辛辣な政権批判等も含まれている。それはこの新聞データベースにおいて固有の情報であり、そこには韓国が国際社会と如何にして葛藤し、人々はその姿をどう伝えてきたかが如実に記録されている。韓国政治を研究するものとして、これによりより多くの人々に正確な韓国に関わる情報が共有されることを願っている。